REVIEW

『五月の雨』【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『五月の雨』安川まり

本作は、DV被害者の実状を、ドキュメンタリーにドラマを織りまぜた構成で訴えかけています。この作品は、以下のような背景から作られました。

日本で初めて、DV被害当事者が台本の段階から密に関わり、製作プロダクションとともに製作された作品です。/また、本プロジェクトは当事者・支援者の資金によって実現され、被害当事者達が物語の構成や細部に意見を寄せてその現実が真実味をもって描かれるよう反映されています。/この問題を一人でも多くの人に知ってほしい、そして一緒に考えてほしいという強い思いからこの映画は製作されました。(映画公式サイト)

映画『五月の雨』安川まり/楠田悠人

最初のドラマシーンは、一見どこにでもある家庭の風景から始まります。でも、すぐにこの家庭で問題が起きていることがわかります。それは身体的な暴力ではなく、精神的な暴力です。

映画『五月の雨』巴山祐樹

さらに精神的な暴力は、離婚調停の場でも起きています。あまりに事務的に進められていく離婚調停では、妻が我慢すればいいだろうという空気が充満しています。そして、親権が絡んでくることで、離婚のために悪条件をのまなければいけないという最悪な状態が妻を追い込みます。

映画『五月の雨』巴山祐樹/楠田悠人

本作の重要なテーマは親権です。2024年5月17日に民法改正が可決、成立し、離婚後の共同親権が導入されました。本作は、この共同親権がどのような問題を引き起こしているのかを描いています。離婚は成立しても、共同親権が認められたことで、DV被害者はずっと元の配偶者と縁を切れません。そして、DV加害者が親権を手放さないのは、子どもへの愛ではなく、別れた相手や子どもに対する支配が理由となっている現状があります。

映画『五月の雨』安川まり

本作に登場する当事者の方々の苦悩は想像を絶します。夫婦の問題だけでも相当に辛いものである上に、子どもが犠牲となる状況で身動きが取れません。そして、行政があまりにも頼りにならないばかりか、頓珍漢な法改正を行ったことに愕然とします。やはり、私達一人ひとりで直接できることはないとしても、社会問題に関心を持って、いち有権者として政治に参加しなければいけないと感じました。まずは、本作を観て、この問題に関心を持つ方が増えて欲しいです。

映画『五月の雨』安川まり/巴山祐樹/楠田悠人/酒井禅功

『五月の雨』
2026年4月11日より全国順次公開
ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会
公式サイト

©ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

海外ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン5』ノア・シュナップ 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年4月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年4月】のアクセスランキングを発表!

映画『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』ジェシー・アイゼンバーグ/デイヴ・フランコ/アイラ・フィッシャー/ジャスティス・スミス/ドミニク・セッサ/アリアナ・グリーンブラット グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション【レビュー】

前作から約10年ぶりに、シリーズ3作目としてお披露目される本作には、新鮮な要素が満載…

映画『ブルーピリオド』薬師丸ひろ子 薬師丸ひろ子【ギャラリー/出演作一覧】

1964年6月9日生まれ。東京都出身。

【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集! 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!

今回は、感情の有用性と有害性の観点から、映画鑑賞ではどのような反応と結びつくのかを一緒に考えたいと思います。この反応次第によって、映画が気に入るか、気に入らないかが変わってきそうだなと…

映画『プラダを着た悪魔2』メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ プラダを着た悪魔2【レビュー】

まず驚くのは、20年間、アンディとして、ミランダとして、エミリーとして、ナイジェルとして生き続けてきたんじゃないかと思うほど…

映画『ゆずり葉の頃』仲代達矢 仲代達矢【ギャラリー/出演作一覧】

1932年12月13日生まれ。東京都出身。2025年11月8日逝去。

映画『サンキュー、チャック』トム・ヒドルストン サンキュー、チャック【レビュー】

REVIEW数々の小説が映画化され、2024年に作家生活50周年を迎えたスティーヴン・キン…

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ 『アダムの原罪』トークイベント付き特別試写会 10名様ご招待

映画『アダムの原罪』トークイベント付き特別試写会 10名様ご招待

映画『40歳からの家族ケーカク』ポール・ラッド/レスリー・マン 未公開映画活性課ヤ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集! 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!

今回は、感情の有用性と有害性の観点から、映画鑑賞ではどのような反応と結びつくのかを一緒に考えたいと思います。この反応次第によって、映画が気に入るか、気に入らないかが変わってきそうだなと…

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原 セルフ・モニタリングとモデリングの機会となる映画鑑賞(論文紹介)&映画でSELラボOPEN!

株式会社TSトーキョーは、映画でSELラボをオープンしました!

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!
  2. 【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原
  3. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』ジェシー・アイゼンバーグ/デイヴ・フランコ/アイラ・フィッシャー/ジャスティス・スミス/ドミニク・セッサ/アリアナ・グリーンブラット
  2. 映画『プラダを着た悪魔2』メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ
  3. 映画『サンキュー、チャック』トム・ヒドルストン
  4. 映画『ゼイ・ウィル・キル・ユー』ザジー・ビーツ
  5. 映画『ラプソディ・ラプソディ』高橋一生

PRESENT

  1. 映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ
  2. 映画『霧のごとく』ケイトリン・ファン/ウィル・オー
  3. 映画『君と僕の5分』シム・ヒョンソ/ヒョン・ウソク
PAGE TOP